第14回 いかなごのくぎ煮文学賞(2025年)入賞作品
「第14回 いかなごのくぎ煮文学賞」には3,259作品の応募がありました。たくさんのご応募、ありがとうございました。審査の結果、以下の通り入賞作品を決定しました。
《三田完・特別審査委員長総評》
イカナゴの不漁とうらはらに、くぎ煮文学賞には3259点もの応募を頂きました。昨年を上回る豊作です。なかでも今回は、エッセイ部門の力作が眼につきました。それぞれくぎ煮を巡るご家族やご近所の方を描いた尊い文章と感じ入りました。気軽に口に入れることが出来なくなったイカナゴ。それゆえに文芸作品がさらに磨かれている印象があります。稀少になってしまったイカナゴへの強い思い、そしてイカナゴ復活への祈り-そんなくぎ煮ファンの心情を重々味わいながら選考にあたりました。
《事務局より(山中勧・いかなごのくぎ煮振興協会事務局長)》
今年もたくさんのご応募、ありがとうございます。いかなご漁は大阪湾では禁漁、播磨灘では解禁後3日間の漁となりました。漁獲量は昨年よりは少し増えたものの、市場価格は1キロ7000円から、高いところでは1万2000円に。当協会が毎年開催している「いかなごのくぎ煮コンテスト」も、試験曳きの結果を踏まえて最初から中止に…。5月9日、気象庁は黒潮大蛇行が収束するという見通しを発表しました。瀬戸内海の栄養分は、黒潮が運んできたものが海底に積もっていた、という学説もあります。来年以降のいかなご漁に良い影響があることを祈っています。
- グランプリ大和田よつあし さん(神奈川県・男性・55歳) 俳句:甘辛き世のいかなごや釘煮炊く
- 準グランプリ月松かもめ さん(兵庫県・男性・46歳) エッセイ:九谷焼の皿
- 郵便局賞はる さん(埼玉県・男性・7歳) エッセイ:ナイショ
- 特選(俳句)木村隆夫 さん(埼玉県・男性・74歳) 俳句:いかなごを煮て曇らすや窓の月
- 特選(短歌)小竹哲 さん(兵庫県・男性・61歳) 短歌:イカナゴの命すくふや二枚貝〝栄養塩〟を吐くといふなる
- 特選(川柳)みんみ さん(大阪府・女性・29歳) 川柳:米がない いかなごもない 春来ない
- 特選(詩)小田凉子 さん(兵庫県・女性・78歳) 詩:母である人
- 特選(エッセイ)まんぷくねこ さん(神奈川県・男性・31歳) エッセイ:いかなごに会いたい
ジュニア部門
- グランプリふけっけ さん(埼玉県・男性・高3) 短歌:いかなごの 影も見えぬと 浜の声 母は黙りぬ 鍋は鳴らずに
- 準グランプリヤロークン さん(兵庫県・男性・中3) エッセイ:母の味は
- 特選ルイボスティー さん(沖縄県・男性・中1) 俳句:春風に くぎ煮の甘さ ほころぶ日
- 特選愛の花 さん(千葉県・女性・中1) 川柳:トランプも 関税免除 するくぎ煮
- 特選和田絢太郎 さん(兵庫県・男性・小5) エッセイ:いかなごの釘煮をこれからも食べたい