第15回 いかなごのくぎ煮文学賞(2026年)入賞作品
「第15回 いかなごのくぎ煮文学賞」には3,406作品の応募がありました。たくさんのご応募、ありがとうございました。審査の結果、以下の通り入賞作品を決定しました。
《三田完・特別審査委員長総評》
今回の応募数は3406篇と昨年を上回るものでした。また、ジュニア部門は389篇といままでで最多の応募数でした。寄せられた作品には「春の海がひそかに書いた恋文」とか「日本の小さな宝石」といった独自の表現が散らばっていて、応募した皆さんの視点が多様になっていることが感じられます。
いかなごの不漁がつづく昨今ですが、くぎ煮文学にいそしむ人たちの心の中では、無数のいかなごがピチピチと元気に跳ねています。美味しいだけでなく、家族の顔や思いがけぬ記憶が浮かびあがるくぎ煮──ただものじゃねえ。まさに豊かな文化であることが、応募作から伝わってきます。
《事務局より(山中勧・いかなごのくぎ煮振興協会事務局長)》
今年もたくさんの「熱い思い」をありがとうございました。2026年の兵庫県のいかなご漁は、播磨灘での2日間のみ。鮮魚としての流通量も少なく、いかなごが手に入らない、値段が高い、という悲鳴がたくさん聞こえてきました。今回は兵庫以外の地域を舞台にした作品も目につきました。くぎ煮を炊く文化の広がりを改めて感じます。
先日、大正3(1914)年の文献「大日本水産暦」(水産新報社)の中に「釘煮」の記述があるのを発見しました。これまでより21年歴史を遡ることができました。明治時代には、すでに漁師さんの家庭料理として「くぎ煮」が普及していたことが推測できます。100年以上親しまれてきた「くぎ煮」。地域の食文化の記録、記憶として、「いかなごのくぎ煮文学賞」も未来に引き継いでいきたいです。
- グランプリ二宗洋輔 さん(愛媛県・男性・25歳) エッセイ:将棋盤とくぎ煮
- 準グランプリ館野史隆 さん(埼玉県・男性・54歳) 詩:よかったな
- 郵便局賞うっかり八兵衛 さん(大阪府・男性・63歳) エッセイ:くぎ煮が落とした取調べ
- 特選(俳句)箭田儀一 さん(広島県・男性・20歳) 俳句:いかなごを煮てゐる母の遠さかな
- 特選(短歌)ルーキー さん(山梨県・男性・45歳) 短歌:生きるのが不得意だとか言う君は何の苦もなく玉筋魚を炊く
- 特選(川柳)あらやん さん(静岡県・男性・79歳) 川柳:娘から若葉マークのあるくぎ煮
- 特選(詩)佐久間信 さん(東京都・男性・72歳) 詩:いかなごくぎ煮への恋
- 特選(エッセイ)kawase akira さん(石川県・男性・58歳) エッセイ:漫画おにぎり
ジュニア部門
- グランプリさ さん(広島県・女性・高2) 短歌:はんぶんこ あなたとわたし いかなごの くぎ煮食べたら ふえる思い出
- 準グランプリあけみ さん(兵庫県・女性・中3) エッセイ:パックの裏
- 特選国領柩 さん(大阪府・男性・高3) 俳句:いかなごのくぎ煮と祖母の鼻歌と
- 特選藤井梓 さん(兵庫県・女性・高1) 川柳:白米も くぎ煮も全部 兵庫産
- 特選髙岡奈央 さん(東京都・女性・高2) 短歌:箸入れぬ 掟(おきて)抱きて 四十分 銀の命が 釘に成るまで
- 特選青木廉太郎 さん(栃木県・女性・高2) 短歌:春潮にほどける銀のいかなごを釘煮に煮れば町の香ぞ立つ
- 特選若狹早 さん(愛媛県・男性・小2) 詩:春のじゅもん
- 特選出島せいな さん(大阪府・女性・中3) エッセイ:くぎ煮です!