第12回 いかなごのくぎ煮文学賞入賞作品
「第12回 いかなごのくぎ煮文学賞」には2,926作品の応募がありました。たくさんのご応募、ありがとうございました。審査の結果、以下の通り入賞作品を決定しました。
《三田完・特別審査委員長総評》
春となれば「いかなごのくぎ煮」。町にただようくぎ煮の香りとともに、過ぎ去った一年の出来事に思いを馳せる人も多いことでしょう。「多様性」「ブラボー」「異次元」「物価高」「ペッパーミル」…といったこの一年のキーワードとともに、たくさんの方たちが「くぎ煮文芸」に今年も挑戦してくださいました。「くぎ煮」で過去の思い出を語ることも、近況を語ることもできる。それだけ日々の暮しに深く馴染んだ食べ物なのだと、応募作を読みながらあらためて感じ入りました。
《事務局より(山中勧・いかなごのくぎ煮振興協会事務局長)》
今年もたくさんのご応募ありがとうございました。いかなごの不漁で皆さんの「くぎ煮」への思いがますます強くなっているように感じます。海がきれいになりすぎ、栄養塩が不足、植物プランクトンが減り、それを食べる動物プランクトンが減り、それを食べるいかなごが減る。そしていかなご等の小魚を食べる魚も減る。世の中はすべてつながっています。高級魚となってしまった「いかなご」、それを加工した高価な「くぎ煮」。皆さんにご理解いただき、ご利用を継続いただくことで、生産者にも還元され、食文化の継承につながります。今後もご支援のほどお願い申し上げます。
- グランプリ中村登志子 さん(大阪府・女性・74歳) 川柳:くぎ煮送れ かけ子うけ子の 子供たち
- 準グランプリ平正夫 さん(千葉県・男性・87歳) エッセイ:一匹の味
- 郵便局賞中澤仁捷 さん(神奈川県・男性・89歳) エッセイ:くぎ煮弁当
- 特選(俳句)木村隆夫 さん(埼玉県・男性・72歳) 俳句:いかなごの釘煮の匂ふ巫女溜
- 特選(短歌)三田広大 さん(兵庫県・男性・62歳) 短歌:五色塚の主いかなご待ちいわび古墳揺すりて海峡波打ち
- 特選(川柳)平穏 さん(岡山県・女性・39歳) 川柳:姑が作ったくぎ煮に監視され
- 特選(詩)三郎 さん(千葉県・男性・73歳) 詩:早春
- 特選(エッセイ)ゆんころ さん(埼玉県・女性・38歳) エッセイ:私たちのゴール
ジュニア部門
- グランプリまーしー さん(大阪府・女性・小1) 詩:こっちを見てる
- 準グランプリPinata さん(大阪府・女性・高1) 川柳:米を炊く くぎ煮を食べる そのために
- 特選白川愛姫 さん(東京都・女性・高2) 短歌:芳しく 輝く琥珀 花見月 箸は止まらず いかなごと知る
- 特選ゴー さん(東京都・男性・中2) 川柳:ばあちゃんの くぎ煮欲しさに 筆握る
- 特選北島彩羽 さん(広島県・女性・小1) 詩:いかなごのくぎに
- 特選枝松航太朗 さん(神奈川県・男性・高1) エッセイ:上品な話