第13回 いかなごのくぎ煮文学賞(2024年)入賞作品
「第13回 いかなごのくぎ煮文学賞」には2,699作品の応募がありました。たくさんのご応募、ありがとうございました。審査の結果、以下の通り入賞作品を決定しました。
《三田完・特別審査委員長総評》
イカナゴをめぐり、この春はとりわけ厳しい状況が報じられました。漁がわずか一日で打ち切りとなり、キロ7000円の高嶺の花になってしまったとか。不漁のさなかとはいえ、今年もたくさんのくぎ煮ファンが本文学賞に応募してくださいました。高値を嘆きつつも、それを笑いに転じるエネルギッシュな川柳作品をはじめ、くぎ煮にまつわる貴重な体験、若い方たちのフレッシュな表現などに、何度も心を動かされました。イカナゴよ、よみがえれ! そして、くぎ煮文学がますます栄えることを祈ります。
《事務局より(山中勧・いかなごのくぎ煮振興協会事務局長)》
今年もたくさんのご応募ありがとうございました。いかなご漁、大阪湾では禁漁、播磨灘では解禁後1日だけで終漁となるなど、史上最少の漁獲高になりました。市場価格もキロ7000円前後と空前の高騰。かつ量も極めて少なく、家でいかなごを炊けた方は非常に幸運だったといえます。当協会が毎年行っている「いかなごのくぎ煮コンテスト」も、参加者がいかなごを入手できず中止に。来年以降も厳しい状況が予想されます。希少ないかなごを大切に売って応援し、あとは祈るのみ…。
- グランプリ熊五郎 さん(福岡県・男性・71歳) 川柳:異次元の 不漁に負けず 炊くくぎ煮
- 準グランプリ熊猫太夫 さん(福岡県・男性・62歳) 短歌:いかなごの解禁日来ず大阪の海を見つめる白髪の漁師
- 郵便局賞田曽真由美 さん(千葉県・女性・40歳) 短歌:控えめに出したくぎ煮が本当は 自信作なの 上達したの
- 特選(俳句)浅野恵子 さん(神奈川県・女性・52歳) 俳句:いかなごのくぎ煮凝視のお食い初め
- 特選(短歌)小竹哲 さん(兵庫県・男性・60歳) 短歌:来ぬ人の松帆の浦を尋ぬれば藻塩は焼かでいかなごを炊く
- 特選(川柳)盟主クサイ さん(鹿児島県・男性・42歳) 川柳:ご安心 はいってますよ おにぎりに
- 特選(詩)橋本麻美 さん(熊本県・女性・35歳) 詩:夜の冷蔵庫
- 特選(エッセイ)出雲遙 さん(大阪府・男性・61歳) エッセイ:白い釘煮
ジュニア部門
- グランプリ悟老 さん(岡山県・男性・15) 川柳:小さきタコくぎ煮の中に見つけ吉
- 準グランプリあけみ さん(兵庫県・女性・小6) エッセイ:いかなごの洋食
- 特選フラフープ さん(兵庫県・男性・高1) 俳句:白ごはん 舞台で泳ぐ 春告魚
- 特選音 さん(東京都・女性・中3) 短歌:食べたいと強く願ったあの日から叶わぬ恋と思うべきかな
- 特選多良 葵 さん(滋賀県・男性・高2) エッセイ:アイワナビーアくぎ煮宣教師