第11回 いかなごのくぎ煮文学賞(2022年)入賞作品
「第11回 いかなごのくぎ煮文学賞」には3,203作品の応募がありました。たくさんのご応募、ありがとうございました。審査の結果、以下の通り入賞作品を決定しました。
《三田完・特別審査委員長総評》
今年もいかなごのくぎ煮文学賞に、全国からたくさんの作品が集まりました。ジュニア部門(高校生以下)の応募が過去最多だったことも嬉しいことです。どの部門もレベルが粒ぞろいだったため、今回は一般の準グランプリを2篇選びました。投稿してくださった皆さん、本当にありがとうございます。
コロナ禍がつづき、いかなごの不漁もつづく日々。それでも町にはくぎ煮を炊く香りが充ち、なかなか会えない家族や知人に宛てて、わが家の味を送る人たちがたくさんいます。そんなくぎ煮ファンひとりひとりの表情がどの作品からも伝わり、胸が熱くなりました。
《事務局より(山中勧・いかなごのくぎ煮振興協会事務局長)》
「いかなごのくぎ煮文学賞」スタートから丸10年。三田完先生のご支援もあり、文学賞としての風格が年々高まってきたように感じます。私も事務局として3,203作品全てを読ませていただきました。お一人お一人のくぎ煮に対する「熱い思い」を強く感じることができました。本当にありがとうございます。
いかなご漁は不漁が続きますが、「くぎ煮」についての思いはますます強くなります。SDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」にも寄与していきたいです。
- グランプリ天和 さん(群馬県・男性・64歳) 川柳:晩酌を 持続可能に するくぎ煮
- 準グランプリ柿司 さん(京都府・男性・41歳) 俳句:瀬戸内のをとめ釘煮と花洛へと
- 準グランプリれむ さん(熊本県・女性・42歳) 短歌:嘘つきは針千本と子に教え釘煮を食べる4月1日
- 郵便局賞感王寺美智子 さん(福岡県・女性・61歳) エッセイ:ありがとうの味
- 特選(俳句)うみなり さん(新潟県・女性・69歳) 俳句:くぎ煮炊く余生の贅や春廚
- 特選(短歌)もふもふ さん(千葉県・男性・59歳) 短歌:菜箸でくぎ煮を摘まむ母の手は左手だったとくぎ煮を供ふ
- 特選(川柳)ミント さん(静岡県・女性・58歳) 川柳:願い込め美味しゅうなあれくぎ煮煮る
- 特選(詩)興村俊郎 さん(大阪府・男性・73歳) 詩:ダンスな春
- 特選(エッセイ)山本順子 さん(大阪府・女性・48歳) エッセイ:いかなごのくぎ煮の声
ジュニア部門
- グランプリ宗實杏寿加 さん(兵庫県・女性・高2) 短歌:祖父の船いかなご求め波を切り祖母は醤油と砂糖揃える
- 準グランプリ井上和奏 さん(大阪府・女性・12) 俳句:いかなごや小皿一つに箸二つ
- 特選諸田和真 さん(神奈川県・男性・小4) 短歌:朝食に くぎにたべると 思い出す 2年も祖母と 会えないことを
- 特選春のめざめ さん(北海道・女性・高2) 川柳:祖母作る くぎ煮を祖父が 自慢する
- 特選中川そぞろ さん(広島県・女性・高2) 詩:輪環と釘