第5回 いかなごのくぎ煮文学賞入賞作品
【三田完・特別審査委員長総評】
5回目を迎えた「いかなごのくぎ煮文学賞」-くぎ煮と同様に、投稿者それぞれの味つけが感じられる傑作ぞろいです。今年からは高校生以下のジュニア部門が新設されました。
若い世代の作品では、とくに短歌の秀作が目につき、16歳の川野沙綺さんの作品が全体のグランプリに輝きました。若き俊才の台頭は、「いかなごのくぎ煮文学賞」にとっても画期的なことだと思います。
若い世代が、そして、働き盛りも、熟年の方々も、それぞれにくぎ煮を見つめ、筆をとる-数々の応募作を拝見しながら、くぎ煮という食文化の奥深さをあらためて実感しました。
【事務局より(山中勧・いかなごのくぎ煮振興協会事務局長)】
今年で第5回目を迎えた文学賞。今年は過去最多の1410作品が全国43都道府県から寄せられました。いかなご漁の大不漁で今年、事務局周辺では本当の悲鳴が聞かれましたが(汗)、こちらはうれしい悲鳴。
全ての作品をひとつひとつ楽しく読ませていただきました。たくさんのご応募に感謝です。また来年もよろしくお願いいたします。
- グランプリ川野沙綺さん(兵庫県・高1) 短歌:くぎ煮炊く 母との会話 味わって 顔知らぬ祖母へ 想いをはせる
- 準グランプリ竹内照美さん(広島県・60) 川柳:爆買いを くぎ煮でしてる 母が好き
- 郵便局賞磯崎章さん(神奈川県・88) 俳句:春便り 故郷の母の くぎ煮待つ
- 特選(俳句)マコッチャンさん(兵庫県・58) 俳句:いかなごを ふくふく育てる 春の波
- 特選(川柳)松永智文さん(愛知県・33) 川柳:胃袋に いかなご丸が トライ決め
- 特選(短歌)大濱義弘さん(兵庫県・72) 短歌:春暁(しゅんぎょう)の 海に漁火 煌(きら)めきて 茅渟(ちぬ)の浦曲(うらわ)に 鮊子(いかなご)のくる
- 特選(エッセイ)村松啓子さん(静岡県・66) エッセイ:くぎ煮賛歌
- 特選(詩)双喜文さん(兵庫県) 詩:春のキック
ジュニア部門
- グランプリ篠原小雪さん(兵庫県・高2) 短歌:鼈甲(べっこう)の ごとききらめき いかなごは 海より我の ごはんの上へ
- 特選さりいさん(兵庫県・高2) 俳句:春を告ぐ ほのかに香る いかなごよ
- 特選奥野華穂さん(兵庫県・高2) 短歌:卵かけ ごはんの金の 海の中 くぎ煮の群れを 泳がせている
- 佳作高田絢菜さん(兵庫県・中2) 俳句:いかなごの あじを決めたり 祖母の愛